おしらせ

『応援の人類学』(青弓社)という本を共著で刊行いたしました。この本は国立民族学博物館の共同研究「応援の人類学  政治・スポーツ・ファン文化からみた利他性の比較民族誌」という3年に渡った研究会の成果物として上梓されました。瀬戸は高校の応援団の持つ文化性に関して一章書かせていただいています。

・著者 丹羽 典生(編著)

・価格 3,400円+税
・ISBN-13
 978-4-7872-3481-0 C0036
・発売日 2020年12月23日
・出版社 青弓社

出版社ホームページ

 
【紹介】(出版社ホームページより)

大学応援団の変遷、プロ野球の私設応援団の実態、伝統芸能とアイドルに熱狂する忘我現象などをフィールドワークに基づいて分析し、応援する人とされる人の世界を考察する。応援文化を多角的に描いて、「他者によって自分の存在を確認する行為」を検証する。

 

【解説】(出版社ホームページより)

ひいきのプロ野球チームを熱烈に応援して勝敗に一喜一憂し、アイドルを追っかけてオタクの生活に浸る。応援団のリードに手拍子を合わせる。応援団としてファンを統制する。

他者を激励して成功を自分のものとし、失敗を自分の責任のように背負い込む応援するという行為を、どういう心性が支えていて、生活にどのように位置付けているのだろうか。大学応援団の実態や、スポーツと芸能の現場――特にプロ野球の私設応援団と、親衛隊からヲタ芸まで――をフィールドワークに基づいて分析し、選手・演じ手と観客との関係を考察する。

大学応援団の歴史や因習に縛られた上下関係、「男の世界」に女性が入り込んで生じるジェンダー問題、伝統校の新入生へのイニシエーション行為、それらが時代とともに変貌するさまを解明する。

また、プロ野球の私設応援団が引き起こした事件と無秩序の実態、その後の統制と管理、トライアスロンなどの参加型スポーツイベントの地域住民と参加者の交流、さらには伝統芸能とアイドルに熱狂する忘我現象とは何か、にも迫る。

応援文化を多角的に描くことで、「他者によって自分の存在を確認する応援という行為」を照らし出す。

 

【目次】

序 章 野次、喝采そして応援―応援の人類学的研究に向けて
第1章 共感と感情的高揚からみる応援・支援―キリバス人・バナバ人の歌と踊りの事例に基づいて
 

第1部 応援する組織―大学応援団を中心に

第2章 日本の大学応援団の原型―その変化と組織秩序が示唆する論点を考える
第3章 日本の大学応援団での女性応援部門の創設と展開―神戸大学応援団を主な事例として
第4章 大学応援団の吹奏楽―関西学院大学応援団総部吹奏楽部の事例を中心に
第5章 伝統校という歴史空間を構築する応援団―岩手県立盛岡第一高等学校の事例から
第6章 時代を映す鏡としての応援団―ある戦後新設高校の事例から
 

第2部 応援する人/される人の関係――スポーツと芸能の場から

第7章 集合的応援での統制と管理―日本のプロ野球私設応援団の管理をめぐる変遷から
第8章 バンクーバー暴動とは何だったのか―北米プロスポーツリーグのファンダムをめぐって
第9章 応援に表象される参加型スポーツイベントの定着化―長距離トライアスロン大会を例に
第10章 演じる見物の諸相――芸能と祭における見物と演者をめぐって
第11章 アイドルを声援することの系譜学―親衛隊からヲタ芸まで

あとがき