研究室について

 瀬戸研究室は「スポーツや身体文化」を「スポーツ人類学」の視点から研究する空間です。「スポーツ人類学」とは、文字通り「スポーツ」という現象を文化人類学の研究手法によって紐解く研究を指しますが、ここでいうスポーツ は大まかに二通りのカテゴリーに分かれています。

 まずは、オリンピックやワールドカップなど国際競技会で行われる皆さんよくご存じの「国際スポーツ」。そして、もうひとつは「民族スポーツ」がその研究対象となります。ところで、ここで登場した民族スポーツ(エスニック・スポーツ)とはどのようなものかご存知でしょうか。

 民族スポーツとは、世界各地の社会・文化の中で生まれ、それらと密接に関係しながら、その土地のアイデンティティを顕在化させ、それを再生産させる身体文化を指します。ご存知のように「世界」とは各地域毎に存在する独自の文化の複合体でが、それらの中には、各地域の歴史や伝統に根差す、(我々にとっては)一見“不思議な”コンペティションがたくさんあり興味深いところとなります。わかりやすく言えば、現在放送中の「世界の果てまでイッテQ(NTV)」のお祭り企画で取り上げられるような、競争(コンペティション)と言えるでしょうか。

 ところで、これらを研究するのは、もちろん、単に「面白そうだから」だからではありません。それらスポーツに共通していえることとして、コミュニティの中でひとつの重要な「文化」として位置づけられており、独自の文化の発露であり、再生産する文化装置となっているからです(たぶん、イッテQが人気を博しているのも、単に異文化をセンセーショナルに「切り売り」するのではなく、根底では日本人の視点からそれを観て、感じ、尊敬し、その素晴らしさを伝えようとしているからだと思います)。

 「スポーツとはひとつの文化である」、「スポーツいう現象から人を社会を視る」そして「文化の素晴らしさを後世に遺す手伝いをする」という前提に立ち、スポーツやそれを支える身体観をテーマとしながら研究を進められればと思っています。